■産後うつ病とは?
この病気は分娩後の情動的および身体的な要因によっておこってきます。少なくとも日本では10%前後の母親がこの病気にかかるといわれています。マタニティ・ブルーという言葉はご存じでしょうか?これは産後数日後、時的に現われてすぐに消える、軽い気分の変化であります。それに対して産後うつ病は中等度から重度のいろいろな症状を伴います。気分のいい日もあれば、悪い日もあり、症状が変化しやすいのも特徴です。
お母さん自身も自覚できずに努力不足のように思ったり、周囲も怠けているのではないかと考えがちであります。
■どうして産後うつ病はおこるのでしょうか?
現在のところ産後うつ病の原因はわかっておりません。しかし、妊娠と産褥期は生物学的に変動の時期であると共に社会心理的にも適応することが難しい時期でもあります。こうした要因によって産後のこころの病気がおこりやすいといわれています。最近の研究では産後うつ病は感情をコントロールする脳の神経伝達物質や遺伝、ホルモンの変化、環境などが関連しているといわれています。体の病気である風邪、糖尿病、心臓疾患にかかった場合に自分の精神力で治すことはできません。産後うつ病もおそらくホルモンに関連したこころの病気であり、決して自分の性格が原因でおこるものではありません。
■産後うつ病はいつおこるのでしょうか?
重いこころの病気は産後直後に多いといわれていますが、産後3ヵ月後までの期間は用心しておく方が望ましいでしょう。
特にわが国では里帰り分娩を終えて日常生活に復帰した産後1ヵ月前後は産後うつ病がおこりやすい時期ですから、特に産後の肥立ちが悪い場合にはできるだけ無理をしないようにしてください。
■産後うつ病の症状
(自己チェック項目)
・疲労感、不眠
・不安、緊張、パニック
・イライラする
・希望を持てない
・集中力や記憶力が弱くなる
・気分が変化しやすい
・せかせかする
・興味に欠ける
・自分を責める
・自分を情けなく思う
・食欲がなくなる
・子供や夫に愛情を感じなかったり、持てない
■現在の治療法について
産後のこころの病気は種類や重症度によって治療が異なりますが、適切な薬物療法や精神療法によって治ります。出産後は専門医にかかりにくいものですが、早期に受診して適切な治療を受けることが大切です。産後のこころの病気は早期に治療しないと遷延しやすい場合があります。
■予防について
妊娠中または産後に「里帰り分娩」をされる方は実家で充分に養生してください。
また核家族の方は実母に自宅に来てもらって、しばらく世話を受けることも一つの方法です。
産後1ヵ月検診を受けてもまだ体の回復が充分でない場合は体の状態に気持を合わせて、夫や家族の協力を得て焦らずに静養してください。
■ご主人、御家族の理解と援助が必要
産後うつ病は母親の健康のみならず、時には結婚生活、職業、母子関係などを損なうことがあります。かりにお母さんが産後うつ病にかかった場合には、体の病気と基本的に変わらないという理解が必要であり、受容的態度で接することが大切であります。産後うつ病は家族からの支援、理解が最も重要であります。
もし、産後うつ病にかかって困った場合は病院の助産婦さんや産科医、または地域の保健所の保健婦さんなどにも相談してください。私たちも母子精神保健の窓口を産婦人科外来に設けておりますので、気楽にご相談ください。
(※参考:PSI-JAPANパンフレットより)